・アマゾンはPrime会員向けに後発医薬品を提供するサブスクサービス、
RxPassを月額5ドルで開始すると発表。
・Primeサービスのオプションとして併設することで、
Primeサービスの登録増加、アマゾン・プラットフォーム上での先発医薬品、
及び他商品の購入などの相乗効果を見込む。
・アマゾンは、オンラインで処方薬の注文を受けて配送するAmazon Pharmacy、
オンラインで臨床医による問診を行う Amazon Clinicを開設しており、
医療事業への参入が続く。
元記事: https://edition.cnn.com/2023/01/24/business/amazon-prescription-drugs-rxpass
新しいサブスクリプションサービス、RxPassとは?
アマゾンは、米国のプライム会員向けに月額5ドルで、
ジェネリック(後発)医薬品*を提供・宅配する
サブスクリプションサービス RxPassを開始すると発表した。
このサービスには、高血圧、糖尿病などの慢性疾患に対応する、
60以上のジェネリック医薬品が含まれていると述べた。高額な先発医薬品は含まれない。
参入したアマゾンの狙いとは?
Amazonは長らくジェネリック医薬品および先発医薬品を、
手頃な価格での購入を可能にする 処方薬割引制度を提供してきました。
今回導入した月額$5のサブスクリプションは、
Amazon Primeの$139の年間購読者の追加オプションで、
Primeの購読者にのみ利用可能となっています。
医療アナリストや経済評論家は、アマゾンがこのサービス単体では損失を出す可能性を指摘する。
というのも、先発医薬品と比較して価格が安いことが理由の一つだ。
2022年にはジェネリック医薬品が米国の処方箋の約86%を占めていたが、
処方箋薬費の20%しか占めていないという。
ではアマゾンの狙いとは何か。
RxPassを導入することで、以下のような狙いがあると言われている。
・Primeの会員登録数を増やす
・高利益の先発医薬品購入の際にアマゾンのプラットフォームを使ってもらう
・医薬品購入とセットで、他商品の買い物を促す
アマゾンは、オンラインで処方薬の注文を受けて配送するAmazon Pharmacyを2020年に立ち上げ。
2022年11月には一般的な疾病を対象に、
オンラインで臨床医による問診を行う Amazon Clinicを開設した。
ヘルスケア分野における基盤を強化しており、利益への貢献度合いが注目される。
ジェネリック医薬品の市場規模
ここで、ジェネリック医薬品と先発医薬品について整理したい。
先発医薬品:最初に発売されたお薬で、新薬とも呼ばれる。
後発医薬品(ジェネリック医薬品):先発医薬品の特許期間(20から25年間)終了後に発売される、
先発医薬品と成分、同じ効き目の薬。研究開発費が少なくてすむため、値段が安い。
先発医薬品の特許切れが続くにつれて、ジェネリック医薬品の種類は拡大していく。
とある調査会社によれば、年間 5%程度の成長が見込まれている。
Amazonの事業内容
アマゾンの事業は大きく分けて5つに分かれている。
Online Store : アマゾンが直販する商品、オンラインストアからの収益
Physical Stores : Wholefoods Market 、Amazon Goからの収益
Third Party Selling Services : Amazon マーケットプレイスからの収益
Subscription Services : Amazon Primeなどからの収益
Amazon Web Services : クラウド事業からの収益
上表はアマゾンの 2022年第3四半期決算から参照した、
事業ごとの売上高を示している。(事業ごとの営業利益等は開示されていない)
売上高の観点から見ると、オンラインストアが大きな割合を占めつつも成長は横ばい、
マーケットプレイス運営による収益が徐々に伸びつつ、
AWSが次の収益の柱として育っているのが現状だ。
営業利益率で言えば、EC事業はマージンが低くなってしまうため、
利益率の高いサブスク事業、AWS事業が今後どれだけ伸びるか、
アマゾンの成長率を占う要素となるだろう。
感想
この記事をまとめる際にアマゾンの決算情報を見に行ったが、
一つ印象に残ったのは、IRの情報量が限定されており、
投資家宛開示にあまり力を入れていないのではないかということ。
以下のリンク先より2022年第3四半期の資料を確認できるが、
例えばテスラやJohnson and Johnson などの企業の資料と比べれば、
情報量やデザインの質は劣後している。
あまり新規の投資家を集めることに関心がないのか、とも思えてしまう。
https://s2.q4cdn.com/299287126/files/doc_financials/2022/q3/Webslides_Q322_Final.pdf
また、株価に関しては、1/27現在で PERが94.53倍とかなり高く評価されている。
上記に示した表でも、全体での成長率はかなり横ばい、
成長が期待できるのはAWS事業くらいなのではないかとも思えた中で、
PERが90倍近くというのは他にも評価されている点があるはず。
それを決算やニュースからは読み取ることが今回はできなかったので、
投資家としてはもっと勉強が必要だな、、とつくづく感じた次第でした。