先日公表されたメタの決算では、
決算会見時にマーク・ザッカーバーグCEOが
示した企業のスリム化や効率化に向けた計画が好感され、メタの株価は一時28.8%上昇し、約10年ぶりの大幅高となりました。
この記事では、決算会見で触れられた内容をまとめ、メタ社の今後の展望についても触れていきたいと思います。
決算内容の詳細
米メタが1日に発表した2022年10 – 12月期決算は、売上高が前年同期比4%減の321.6億ドル、
純利益が55%減の46.5億ドルでした。
減収は3四半期連続となりました。
サービス利用者数は継続的に増加しており、
Facebookの1日あたりの利用者が20億人に達しました。1年前より4%多く、市場予想を上回りました。
画像共有アプリのインスタグラムなどを含む、
グループのサービス全体の月間利用者は4%多い37.4億人でした。
ザッカーバーグCEOが会見で語ったこととは?
主に2つのテーマに沿って説明しており、
「AIへの継続的な投資 」と 「コスト削減」
でした。
AIによるレコメンド機能の増強に努めているそうで、Instagram等でのReels機能(短い動画形式の投稿)での広告や、
お勧め動画機能の改善など、ユーザー体験の向上を一層図っていくとのことです。
AIへの投資はここ最近のChatGPTの人気の高まりもあり、Microsoft や GoogleといったIT大手各社も投資を強める分野になっています。
Reels機能への注力を進めているのは、
Tiktokの利用者数増加を踏まえたもので、
直近6ヶ月でもReels機能を使ってシェアを行うユーザー数は倍増したそうです。
ただ、Reels機能のマネタイズはこれからで、
2023年後半、もしくは2024年以降になりそうとのコメントがありました。
コスト削減の内訳としては、
進行中のプロジェクトの見直しや終了、
判断の迅速化を目的とした中間マネジメント層の人員整理、
エンジニアの効率化のためのAIツール導入などを行うとしました。
削減したコストを以て、
先述したReelsの広告事業拡大に資金・リソースを投入していくということでしょう。
2023年の見通し
2023年のメタの業績見込みは、引き続きデジタル広告産業は厳しいのが市場の見方です。
そのため、コスト削減による利益率の向上が一層求められ、
投資家からの期待は高まっていると思われます。
また、厳しい市場環境の中でもシェアを維持する為にも、
広告の選定から配置、タイミングの最適化を図ることでコンバージョン率*を上げ、
顧客満足度(ROAS* 等)を向上させることが重要と言えるでしょう。
ただ、業績の追い風となりうる材料としては、
アメリカ国内ではTikTok規制論が高まってきているという点でしょうか。
今月中にはアメリカ国内でのTikTok利用を禁止する法案を下院が採決するという報道もあります。
既に多くのユーザーがおり大反発は必至となりそうですが、
広告を掲載する側からすれば、セキュリティ上の懸念があるという印象が大きくなればなるほど、
Tiktok から Reels機能への広告の移し替えもあり得ると思います。
そして同社の中長期的な強みとして考えられるのは、
新たなデジタル広告媒体への対応力、複数の広告媒体の所有、です。
Youtube や Netflixなど、動画・映画には既に様々なコンテンツがある中、
休憩時間や移動時間などに頭を使わずにサクサクと視聴することができるショート動画は、
新たな広告媒体の登場とも言っていいでしょう。
Tiktokが台頭する中、Meta社も遅れることなくReels機能を導入し近いうちに収益化を図れる見込みですし、
ビジネス向けのClick-to-message(メッセージ誘導広告)*など、
複数のデジタル広告媒体を保有するMeta社は、
同様にデジタル広告事業を展開する他社と比較しても大きな優位性を有すると言えます。
現在株は所有していませんが、押し目等で買うタイミングがあれば所有したいと思う銘柄です。
*コンバージョン: ユーザーが広告をクリックするなどの操作を行い、
その後で広告主にとって価値ある特定の行動(サイトでの商品購入や、スマートフォンでの問い合わせなど)に至ること。例えば広告の商品を購入するなど。
*ROAS: 広告経由で発生した売上を広告費用で割った数値のことで、広告の費用対効果を表す。
*Click-to-message広告: 広告をクリックしたユーザーに、チャットボットのような形式で質問や選択肢などのアクションを設定し、ユーザーとコミュニケーションをとることができる広告。
ユーザーの疑問に答えたり、情報を提供することで次のユーザーの行動を促すことができるのが、ほかの広告と異なるポイント。