メルセデス・ベンツ、米国では初となる自動運転「レベル3」搭載の車両を販売予定

投資

・メルセデス・ベンツ社は、米国初となるレベル3の自動運転を搭載した車両
 今年後半に投入予定。
・レベル3の自動運転技術を有するメーカーは、アウディ・ホンダ・メルセデスベンツのみ。
・日本政府は2025年をめどに、高速道路を走行する乗用車で、
 レベル4の自動運転を実現させる目標
を立てており、
 法整備・技術開発含め注目が高まる。

元記事: https://edition.cnn.com/2023/01/27/business/mercedes-tesla-automated-highway-driving

記事の要約 + レベル3のシステム認可を得たメーカーの紹介

メルセデス・ベンツは、米国向けの『Sクラス』新型とEVの『EQS』に、
オプションで自動運転システム「DRIVE PILOT」を用意した。
このDRIVE PILOT装着車によるレベル 3の条件付き自動運転が、米国ネバダ州で認可され、
カリフォルニア州でも認可される見通しとなった。
DRIVE PILOTを装着した両車の米国での納車は、2023年後半から開始される予定。

レベル 3 とは、渋滞時など時速60キロ以下における一定条件下では、
ドライバーが運転から解放されるが、ドライバーが運転から完全に解放されるわけではなく、
システムからの要請でドライバーはいつでも運転に戻れなくてはならない。

レベル2のシステムの例として、TeslaのAutopilot、General MotorsのSuper Cruise、
トヨタのアドバンストドライブなどがあるが、レベル3のシステムを導入しているのはアウディ、ホンダ、メルセデスの3社のみである。

世界で一番最初にレベル3を達成したのは、アウディが2017年に発売した「Audi A8」
高速道路など片道2車線以上の道路で、時速60キロメートル以下の低速で交通が流れるという条件下、ドライバーに代わってシステムが全ての運転操作を引き受けるシステムを搭載可能としている。
ただし、公道利用には各国の法整備を要することなどから、実際にはレベル2に相当するADASを実装して販売しているのが現状だ。
世界で初めてのレベル3のクルマは、ホンダの「レジェンド」であり、
国土交通省から認定を受けた「Traffic Jam Pilot」機能が搭載されている。

自動運転のレベルとは?

自動運転レベルは運転の主体や自動運転技術、走行可能エリアなどによって、
「レベル0」から「レベル5」の6段階に分類されている。

レベル概要運転操作の主体
レベル0
運転自動化なし
自動運転する技術が何もない状態。ドライバー
レベル1
運転支援車
システムがアクセル・ブレーキ操作またはハンドル操作のどちらか部分的に行うドライバー
レベル2
運転支援車
システムがアクセル・ブレーキ操作またはハンドル操作の両方部分的に行うドライバー
レベル3
条件付自動運転車(限定領域)
決められた条件下で、全ての運転操作を自動化。
ただし運転自動化システム作動中も、
システムからの要請でドライバーはいつでも運転に戻れなければならない。
システム
システム非作動の場合はドライバー
レベル4
自動運転車(限定領域)
決められた条件下で、全ての運転操作を自動化システム
レベル5
完全自動運転車
条件なく、全ての運転操作を自動化。システム
JAF、「自動運転はどこまで進んでいますか?」、記事より参照

「レベル1」も「レベル2」ではドライバーは常にハンドルを握っている必要があり、
運転の責任はすべてドライバーが負うため、「運転支援車」と呼ばれている。
レベル1の自動運転車であれば、車間距離制御やハンドル操作などを宣伝した車種は、
テレビCMでも多く見られ、市場にすでに出回っていると言える。

「レベル1」には、ブレーキ・アクセル・ハンドル操作で以下のような支援がある。
「レベル2」では以下の技術を組み合わせ、アクセル・ブレーキ操作とハンドル操作の両方を支援する。

ブレーキ操作の支援:衝突被害軽減ブレーキ
アクセル操作の支援:設定した車間距離を保ちながら加減速ができるアダプティブクルーズコントロール(車間距離制御装置)
ハンドル操作の支援:車線中央付近の走行を維持する車線維持支援機能

「レベル3」は「条件付自動運転車(限定領域)」と呼ばれ、
高速道路などの限定された領域において、自動運転システムによる自動運転が行われる。
ただし、運転自動化システム作動中も、
システムからの要請でドライバーはいつでも運転に戻れなければならない。

「レベル4」は「自動運転車(限定領域)」と呼ばれ、
自動車専用道や特定の敷地内・送迎ルートなど限定された領域において、
システムによる自動運転が行われる。
レベル3との大きな違いは、レベル4では限定領域内においてドライバーの介在が必要なく、
全ての運転操作をシステムが行うことだ。

「レベル5」は「完全自動運転車」と呼ばれ、レベル4の「限定領域」がなくなり、
全ての領域においてシステムが自動運転を行う。

実現すればドライバーによる運転操作が不要となるため、
ハンドル・ブレーキペダル・アクセルペダルのない、
今までとは大きく違うクルマ
が走行することになりそうだ。

ただし、以下の課題例の通り、解決するべき問題はたくさん残っており、
実現には相応の時間がかかると考えられている。

・センサー類やAI等自動運転技術のさらなる進化
・クルマの周囲の状況を把握するために重要な高精度3D地図の整備
・自動運転車以外の車両との混走時の交通ルールの検討
・事故の際の法的責任

今後の展望、感想

自動運転レベル3が導入されたとはいえ、
実際は限られた条件下(60km以下、2車線以上ある高速道路など)での自動運転であり、
かつ有事の際には運転手が操縦する必要がある。

また、価格帯も他の車種と比較して高額となることが予想され、
自動運転技術がまだ成熟していない車種を、
高い金額を払ってまで買いたいか、という需要の問題もありそうだ。
だからこそ、レベル3の車両をすでにアウディやホンダが開発していても、
市場での爆発的なシェア拡大が見込めず、株価には反映されていないのだろう。

センサーやカメラ、各種端末との通信などの技術開発に加え、
法制度も整備する必要があり、「自動運転」の実現にはまだまだ道のりは遠いのが現状だ。

日本政府としては2025年度までに、
高速道路でレベル4相当の自動運転を実現することを目指しており、
今後ますます注目がかかってくる。

参考リンク:

https://edition.cnn.com/2023/01/27/business/mercedes-tesla-automated-highway-driving
https://jaf.or.jp/common/kuruma-qa/category-construction/subcategory-structure/faq083

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