Disney社、22年10-12月決算発表。事業内容、決算会見で語られた内容は?

投資

先日8日、ディズニーの2022年10月 – 12月決算が公表されました。

ディズニー社は、1月に短期保有していた銘柄で、
利益率の改善が見込まれればさらに株価が上昇すると見込んでおります。

そんなディズニー社の決算内容に簡単に触れ
現在課題となっているストリーミング事業などの事業内容を説明したのち、
今後の展望についても語られていた決算記者会見の内容をまとめます。

決算内容の概要・株価の動き

2022年10-12月 の決算では、

・売上高:235.1億ドル(前年同期比8%増)
・純利益:1.3億ドル(同11%増)
・一時的要因を除いた調整後の希薄化後EPS:0.99ドル(同7%減)

となり、売上高、EPS ともに市場予想を上回りました。

決算が想定より悪くなかったという点に加え、
事業再編の一環として、従業員全体の約3%に相当する7,000人を削減する計画を明らかにしたこともあり、株価は日中終値比5%高の117ドルと急伸しました。

ディズニーの事業内容を改めて確認

ディズニーの事業内容は、大きく以下の2つに分かれています。

・Disney Media and Entertainment Production(メディア関連事業)
・Disney Parks, Experiences and Products(ディズニーパーク運営等)

一般的に、ディズニーと言えばイメージするのは後者のディズニーパーク運営やグッズ販売による収益ですが、実際はメディア関連事業の売上の方が大きいです。


売り上げが大きいのはメディア事業なのですが、
営業利益で見ると赤字事業となってしまっており、ディズニー社の課題でもあります。

メディア事業をさらに分解すると、以下のとおりです。

Linear Networks(ケーブルや日本ではBS・CSなどテレビ向けのコンテンツ提供)
Direct-to-Consumer (Disney+, Hulu, ESPNなどの動画配信サブスクリプション)
Content Sales / Licensing and Other (ライセンス提供、キャラクターを使った版権ビジネス)

中でも、Direct-to-Consumerビジネス (D-to-C)、
つまりネット経由の動画配信サービスが大きく赤字となっているのですが、
これは動画制作コストや広告費用の積み上げが原因と言われています。

ディズニーの公式動画配信サービス「Disney+」は、2019年11月のリリースから
1年4ヶ月で会員数1億人を突破するなど、勢いよく成長してきた事業です。
今後、一層の利益率改善が求められますし、投資家からの期待も大きい分野だと思われます。

決算会見で語られたこととは?

ボブ・アイガーCEOは、決算会見で収益の改善、配当に関する発言をしました。

D-to-Cビジネスの改善について

まずは、赤字事業となっている D-to-Cビジネスについては、
「D-to-Cビジネスは将来的に明るい事業だと信じているが、
Linear Networks ビジネスのような利益率や収益面の結果が基本的に得られていない」と述べ、
来年度の財政年度(2024年10月から2025年9月まで)に、利益を上げることを再確認しました。
一方で、経済の悪化により影響を受ける可能性があることも補足していました。

この発言の背景としては、収益の柱であったケーブルテレビから切り離される中、
利益を上げるストリーミングサービスが求められていることです。
ディズニーは長年にわたりケーブル契約者の料金収入から利益を上げてきました。

55億ドルにも及ぶコスト削減について

アイガーCEOは、会社全体で55億ドルの経費削減を目指していると述べました。

そのうち25億ドルは、非コンテンツ(映画やテレビ番組などのビジネスユニット)から削減するとし、経費削減の50%がマーケティング費から、30%が労働力削減から、20%がテクノロジー、調達、その他の経費の減少から来ることが述べられています。

コスト削減は、上述のストリーミングビジネスの収益改善にもつながる施策だとみられ、
市場は好材料視しました。

配当の再開について

また、ディズニーは今年度終了時点までに配当を再開することを意図しています。
ディズニーはコロナ禍で配当の支払いを中止しており、
参考までに2019年度の配当支払いは 1.76ドルでした(当時の配当利回り 1.2%)。

配当再開できる程度には、事業の見通しが立ってきたというのも明るい材料ですね。

まとめ・所感

利益を下支えするケーブルテレビ事業からの安定的な収益があるうちに、
次の収益の柱であるストリーミング事業を育て、利益率を改善しようという喫緊の課題に取り組んでいることが理解できる決算でした。

また、コロナによる影響が緩和されつつある世の中では、
今回の記事ではあまり触れてこなかったパーク事業の収益改善にも繋がり、
全社的には明るい材料の方が多いのではないかと考えます。

Buy or not Buy?
現在の株価が高めの水準なので、景気後退に伴い株価が下落してきたタイミングで、
買いたいと思ってます。

(参考)物言う株主・ペルツ氏の取締役選任をめぐる争いは?

ネルソン・ペルツ氏は、ディズニーの取締役選任を目指す委任状争奪戦を打ち切った。
ディズニーが発表した年間55億ドルのコスト削減策を評価したという。

同氏が率いるトライアン・ファンド・マネジメントの広報担当者は,
「委任状争奪戦は終わった。これは全株主にとっての勝利だ」と述べた。

トライアン・ファンド・マネジメントはディズニー株を10億ドル近く保有し、
直近四半期でもDisney株を買い増ししてきたことがわかります。

CNN Business, Walt Disney のページより参照

公開済株式の総数が1,824百万株だけに、大きな変動ではないと言えますが、
引き続きアクティビストによる事業改善案が出てきた際には、
株価の変動が見込めるチャンスと言ってもいいでしょう。

タイトルとURLをコピーしました