Appleの決算見通しに関する記事はこちら:
デジタル広告事業には逆風が吹いている状況
デジタル広告事業を主な収益源とする企業にとって、2022年は非常に厳しい年だった。
通期比での売上成長率に陰りが見えた昨年度、
Metaの株価は大きく下落し、
時価総額の2/3を失った。
昨年11月には人員整理も発表している。
散々だった2022年から年が明けると一転、
投資家は徐々にデジタル広告セクターに戻りつつある。例えば、Metaの株価は2023年1月以降、18%ほど株価を上げている。
安値圏のうちに購入し、長期保有する意味合いも含まれるかもしれない。
2023年のデジタル広告事業も減速が見込まれる理由
ただし、2023年の広告事業の見通しは
まだ明るくない。
米国の金融サービス会社Cowen が広告バイヤーを対象に行った調査では、
企業の広告宣伝費は2023年には3.3%程度しか
増加が見込めないとした。
尚、2022年の増加率は7.5%であったことから、今年も更なる減速が見込まれるということだ。
次に、Appleが公表したApp Tracking Transparency (ATT)の影響だ。
ATTとは、あるアプリが、他社アプリやWebサイトを横断してユーザーの行動を追跡をすることを制限する、
アップルによるプライバシー保護方針だ。
これにより、購入可能性の高いユーザーレベルのデータに基づき、特定の観客層にターゲティングしたり、キャンペーンを最適化することが難しくなった。
最適化した広告を打ち出すことが難しいなら、企業もわざわざ広告掲載の依頼をしないだろう。
特にMetaにとっては大打撃で、2022年だけでも収益を100億ドルほど減少させる可能性があると言われている。
最後に、Tiktokの台頭が挙げられる。
ショート動画の投稿をメインとしたサービスで、
ユーザー数は伸び続けている。
Metaも同様に Reelsという機能を追加し対抗をしているが、現状ではTiktokの存在感が大きい。
Metaの将来性は?
デジタル広告事業を抱えているのはIT大手の中でMetaだけではない。Google, Amazonも同様に広告事業を有する。
ただし、Googleであれば、クラウド事業、端末事業(Google Pixel等)、
Amazonも同様にクラウド事業やサブスクリプションサービスを有している一方、
Metaは他に業績を下支えする事業がない。
Metaは、社名を変更したことで有名だが、
メタバース事業に100億ドルもの巨額な投資を行っている。VRレンズであるOculusなどを既に販売しているが、市場には浸透せず、主力事業とは言い難い。
メタバース事業が収益化する兆しが見えれば、
この市場での先行投資やノウハウの蓄積は他社の追随を許さずに、利益を手にすることができるだろうが、そのタイミングは来るのかどうか。
まずは、目下の広告事業の回復が待たれるところだ。