PCE・PCE価格指数の結果は市場予想通りに。カテゴリー別のインフレ率は?

投資

まとめ
2022年12月の個人消費支出(PCE)は前月比-0.2%と、2カ月連続のマイナス。
・変動の激しいエネルギー、食品を除いたコアPCE価格指数は前年比+4.4%と予想に一致。
・前月比では消費財の価格が 0.7%減少、サービスについては引き続き0.5%増加
・サービスでは特に家具・家電、住宅・公共サービス、交通サービス、娯楽サービスが値上がり。

以前の記事では、PCE・PCE価格指数について解説しました。

2022年12月 PCE・PCE価格指数の結果は?

2022年12月の個人消費支出(PCE)は前月比-0.2%と、2カ月連続のマイナス。
減少は2カ月連続で、2023年に向け経済が低成長路線に入る兆候を示している。

変動の激しいエネルギー、食品を除いたコアPCE価格指数は前年比+4.4%と予想に一致。
11月+4.7%から鈍化し21年10月来の低い伸びとなった。

物価上昇圧力が緩やかになったことで、フェデラル・ファンド(FF)金利先物市場では、
FRB が来週0.25%ポイントの利上げを決定したあと、もう1回だけ利上げを行い、その後打ち止めにするとの見方が織り込まれている。

ただし、家賃を除くコアのサービス分野のインフレは依然として極めて高水準であった。
過去にFRBのパウエル議長は以下のような発言をしており、
「インフレ率が持続的な形で2%へと低下していると委員会が確信するまで、利下げが検討されることはないとみている」
「物価安定を回復させるには、景気抑制的な政策スタンスをしばらく維持する必要がありそうだ」

インフレ要素が鈍化しているとの証拠がない現状では、
金利をより高い水準でより長くとどめるとのタカ派的メッセージを維持するとの意見もある。

PCE価格指数を細かく見てみよう

先日説明したPCEの実際の集計に当たっては、消費者が購入するサービスや財によって構成され、
主に以下のカテゴリーに分類される。

  • 耐久消費財 (durable goods) : 長寿命の商品、例えば自動車、家具、家電など
  • 非耐久消費財 (non-durable goods) : 短寿命の商品、例えば食料品、化粧品、衣服など
  • サービス (services) : 例えば、医療、教育、旅行、通信など

PCE価格指数をカテゴリーごとに分解したものが以下の表である。
消費財の価格が 0.7%減少、サービスについては引き続き0.5%増加しており、
金融引き締めしている現状でもサービス価格は上昇していることがわかる。

米国商務省、PCE価格指数データ(カテゴリーごと)

商務省のページからは(非)耐久消費財、サービスごとの内訳のデータを取得できたので、
より詳細な項目で分析をしてみる。
“2022 Dec vs 2021 Dec”の列が前年同期比を示し、”2022 Dec vs Nov” の列が前月比を示す。

まずは前年同期比での価格変動を見ると、

Furnishings and durable household equipment: 家具・家電
Housing and utilities: 住宅・公共サービス、 住宅ローンや保険、水道光熱費など
Transportation services: 交通サービス、 自動車購入、公共交通(飛行機・電車・バス)など
Recreation services: 娯楽サービス、 観光(旅行、ホテル)・エンタメ・スポーツなど

の4項目において大きく価格が上昇している。

各項目の中にも異なるサービスが含まれているので断定することが難しいが、
飛行機の全体的な値上がりや住宅ローン金利の上昇により、
交通サービス、住宅・公共サービスが上昇しているのではないかと見られる。

次に前月比での価格変動を見ると、Gasoline and other energy goods(ガソリン等の燃料)で -9.5%減少しており、燃料費が落ち着いてきた印象だ。
Transportation servicesについては、燃料費高、人件費の高騰もあるのか、
ここ1ヶ月でも物価が上がっているのがわかる。

米国商務省、PCE価格指数データ(項目ごと)

雑感

今回、初めて意識してPCE・PCE価格指数を見たわけですが、
PCEは個人消費の傾向を探るために前月比での比較がなされ、
PCE価格指数はインフレ指標としての役割があるため前年同月比での比較になるんですね。

PCEが2ヶ月連続減少となったことで、経済停滞の弊害が現れているように見えますが、
指標発表後の株価は堅調に推移しています。
2022年11月、12月と続いた支出の減少が、2022年10月 – 12月の決算発表で現れ、
企業の売上減・成長率の鈍化を恐れて株価が下落、というシナリオだったのが、
企業・セクターによっては予想を上回る実績を上げ、全体の株価を引き上げた、ということなのでしょうか。

今回のように、経済の温度計とも呼ばれる基本的な指標について勉強しつつ、
結果をどのように市場は捉えて相場に反映されるのか、あるいはすでに織り込み済なのか等、
自分なりに因果関係を推測できるようにしたいですね。

参考文献

https://jp.reuters.com/article/ny-forex-idJPKBN2U61OY?il=0
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2023-01-27/RP5C8ST0G1KW01


https://www.bea.gov/data/personal-consumption-expenditures-price-index-excluding-food-and-energy


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