Verizon社は、アメリカ合衆国で最大の、
ブロードバンド及びワイヤレス事業事業者です。
6%超の高利回りで有名で、利回り目当てで投資を検討される方も多いかもしれません。
利回りの高さだけでなく、同社が展開する通信事業は、5Gの発展等により今後一層の成長が見込まれ、非常に魅力的です。
私は、そのポテンシャルにしては、株価が割安な状態にあるのではないかと考えています。
本記事では、そんなVerizon社の事業内容・業績、Verizon社の成長の根拠となるモバイル通信量の増加予測、株価に関連した財務指標を整理していきたいと思います。
事業内容・業績
当社の主力事業は、ワイヤレス事業、
ブロードバンド事業です。
通期での売上高:1,368億ドル
第4四半期の売上高:353億ドル
両指標ともに、前年実績を2-3%上回りました。
顧客層の違いで収益を分解していきますと、
通期の売上高は以下の通りとなっており、
一般消費者向けのビジネスが収益の大半を占めていることがわかります。
Consumer (一般消費者) :1,035億ドル(成長率 8.6%、売上高に占める割合は約75%)
Business (企業向け):311億ドル(成長率 0.1%、売上高に占める割合は約25%)
また、通信事業は大きくワイヤレス、ブロードバンドに二分されます。
ワイヤレス:
スマートフォンおよびその他の携帯端末用に提供する通信サービス
ブロードバンド:
ファイバーなどの技術を使用し、家庭や企業などの固定場所にインターネット接続を提供
決算での注目ポイントは、ワイヤレス、ブロードバンドともに加入者が増加しているかどうか。
10-12月期決算では共に増加しており、
内訳ではブロードバンド加入数の方が大きいようです。
期待できるポイント:モバイル通信量の成長
自動運転技術の発展やさらなるIoT化、
5Gの進展により映像などの高容量データのやり取り増加により、世界的には通信量は伸びることが想定されます。
実際、スウェーデンの通信機器メーカーであるEricssonは、携帯端末間の通信量予測についてレポートを出しており、
2028年には2018年の10倍もの規模に成長すると記載しています。
EBはエクサバイト、10の18乗。
普段耳にするギガバイトが、10の9乗。
特に北米では、スマートフォン1台あたりの平均月間モバイルデータ使用量が、2028年には55GBに達することが予想されています。
無制限のデータプランや、5Gネットワークの発展により新しい5Gの加入者が増える他、
ゲーム、XR、ビデオベースのアプリの普及に伴い、利用時間あたりのデータトラフィックは大幅に増加するためとのこと。
また、2028年には、北米の5Gサブスクリプション普及率が全地域の中で最も高く、
90%以上に達すると予測されており、
他地域比較でも多い通信量が見込まれています。
利回り推移
2018年以降の配当利回りを以下に示しています。
平均的に4%程度の利回りがある銘柄で、
直近では株価の低迷もあり5-6%まで上がってきています。
通信株で高配当といえば、
国内ではKDDI、ソフトバンクですよね。
利回り・配当性向を両社と比較してみましょう。
配当利回りではVerizon が最も高く、6.5%。
配当性向では、Verizon社の昨年度の配当性向は 42%、KDDIと同水準となっています。
長期的にも、配当増額の余地があると言えます。
配当利回り | 配当性向 | |
Verizon | 6.5% | 42% (2022/12時点) |
KDDI | 3.25% | 42% (2022/03時点) |
ソフトバンク | 5.6% | 78% (2022/03時点) |
財務指標
EPS・PER・PBSの推移を見ていきます。
EPSはなだらかな上昇基調にあると言えます。
直近四半期のEPSは1.56ドルで、前年同時期とほぼ同値となりました。
PERは、直近で 7.9倍をつけています。
2019-2021年には10-15倍をつけていたのが、
直近では10倍程度まで落ち込んできています。
(参考)KDDI: 12.5倍、ソフトバンク: 13.9%
PBRも下落し 1.8倍 程度になっています。
(参考)KDDI: 1.73倍、ソフトバンク: 2.28倍
まとめ
アメリカで最大の通信事業者であるVerizonにとって、5Gの進展に伴うデータ量増大は大きな機会ですね。
フリーキャッシュフローも潤沢な同社は、
5G時代に備えた設備投資をしつつ、
安定した利回りを投資家にもたらしてくれるでしょう。
長期投資の目線に立てば、
キャピタルゲイン、インカムゲインの
両方が狙える銘柄だと思いました。