昨日(2023年2月16日)、
米国のPPI(Producer Price Index)が発表され、予想を上回る 前月比 0.7%の上昇となりました。
昨年度から続く高インフレの根強さが引き続き
現れ、今後追加での利上げ可能性が浮上。
翌営業日の株価は下落しました。
株価にも影響を及ぼす経済指標であるPPIについて、概要、セクターごとの内訳を説明します。
このブログでは、投資家が把握し売買に活かしている経済指標について、
初めての方にもわかりやすく解説するよう努めています。
PCE(個人支出消費)指数に関する過去記事はこちら:
PPIの概要
PPIは、
生産者が出荷した原材料や製品を対象に、企業間で取引される価格を指数化した指標です。
米国の労働省労働統計局(Bureau of Labor Statistics)が公表する指標で、
「原材料」⇒「中間財」⇒「最終財」の段階別、産業別・品目別に発表されます。
川上での価格動向を示すことから、
川下であるCPI(消費者物価指数)や、
企業業績・株価に対する先行指標の役割を果たします。
産業別の内訳は?
産業別とは、以下のように分類されています。
- 消費財:
- 食品(Foods)
- エネルギー(Energy)
- その他(Less Foods and Energy)
- サービス:
- 貿易サービス(Trade)
- 運輸・倉庫サービス(Transportation and Warehouse)
- その他(Other)
ニュース等で報道されるのは「最終財(final demand)」、つまり最終需要向け財・サービスの価格変動であることが多いです。
また、食品、エネルギー価格は価格の変動がとても激しく、物価指数に与える影響が大きいです。
それら2項目を除いた指数が「コア指数」と呼ばれ、こちらも重要視されます。
上表は、実際に米国労働省から公表された資料から抜粋しました。
- 左下:2023年1月の最終需要向け財・サービスPPI が 0.7%
- “Final demand goods” 項目下の、”Less foods and energy”に、
「コア指数」があります。1月分は 0.6% ですね。- (先ほど価格変動が大きいと述べたFoods、Energyは
それぞれ -1.0%、+5.0% の変動でした)
- (先ほど価格変動が大きいと述べたFoods、Energyは
品目別の指標とは?
下表は、同じく米国労働省から取得した、品目ごとの内訳になります。
実際のリストはかなり長く、食品の部分のみ一部抜粋しました。
(字が細かくてすみません、、)
食品だけでなく、エネルギー、サービス部門の内訳は、こちらのレポートから確認できます。(2023年1月分)
Unadjusted 12-month percent changeの項目を見れば、昨年同期比の価格変動がわかります。
以下は例ですが、
卵(Eggs for fresh use):209.3%上昇、
野菜類(Fresh and dry vegetables): 32.6%上昇、
など、米国の物価上昇の凄まじさが垣間見えますね。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
PPIは、消費者物価指数の先行指数として、
生産者から見た財・サービスの価格変動を教えてくれます。
予想以上に高い数値が出ればインフレ、景気過熱のサイン、低い数値が出れば、景気減退のサインになります。
PPIをうまく活用して、
景気感の把握に役立てましょう。
補足ですが、米国労働省から公表される品目ごとのレポートは、
衣服などの日用品からインターネット通信代まで、あらゆる項目が含まれています。
例えば、保有する株式の業界に関連する品目を見て、値上がり率を判断することもできます。
非常に含蓄のある指標だと言えますね。