FRBも参考にする、個人消費支出価格指数(PCE)デフレーターとは?CPIとの違いは?

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まとめ:
・個人消費支出価格指数(PCE)デフレーターは、利上げ判断の参考とされる指数で、
 毎月末に米国の商務省が公表する、FOMC会合の利上げ判断に大きな影響を与える指標
・消費者物価指数(CPI)との違いは、代替品目の取り込み有無や調査の対象範囲で、
 一般的にはCPI の指数が PCEデフレーター を上回ることが多い
・上回った際には利上げの当分の継続により株価は売られると予想され、
 下回る際には利上げペースの加速・金融引き締めの早期終了への期待が高まる。

今後の景気を見通す上でのイベントは、1/31 – 2/1の日程で開催される次の連邦公開市場委員会(FOMC)にて、利上げペースにつきどのような議論がなされるかだろう。

短期的には0.25%の利上げがなされるという見方が大勢で、
中長期的に金融引き締めをいつまで持続させるかが争点となる。

利上げの継続については、物価上昇率や個人消費の動向が参考にされる。
今回の記事では物価上昇率の判断材料として使われる、
Personal Consumption Expenditure Price Index(個人消費支出価格指数、PCE)について触れる。

個人消費支出価格指数、PCEとは?

個人消費支出価格指数とは、米国の商務省が毎月末に公表する指標で、
米国の家計が消費した財やサービスを集計した経済指標である。
米国の個人消費はGDPの7割を占めており、景気動向を見る上で大きく注目される指標である。

このうち、名目PCE を 実質PCEで割った指標が PCEデフレーターといい、
物価変動を考慮するための物価指数である。

尚、物価指数としては労働省が公表するConsumer Price Index (CPI)も別途存在する。
CPIとは毎月13日頃に公表される物価指数で、
都市地域の一般消費者世帯が購入する商品・サービスの総合的な価格の動きを指数化したものである。

ここで、PCEデフレーター(以下、PCE) と CPI と2つ指標が出てきたので、違いを整理すると、

  • 労働省が発表する消費者物価指数(CPI)が都市部中心、家計調査を基にした物価指数であるのに対して、PCE は全米が対象で企業の小売りデータが基になっている。
  • CPI は基準年の品目ウエイトを用いることから新製品や低価格品への代替消費が反映されないが、
    PCE は消費行動の変化を織り込むように調整がなされている
  • 医療費に代表されるような、企業や政府が対価を支払って消費者が享受するサービスについて、CPI は自己負担のみ、PCE は全額が集計される。
    つまり、 PCE は医療費データのウエイトが最も高くなる傾向がある一方、
    CPI は住宅費用のウエイトが最も高い。

CPIは基準年の品目を用いる以上、低価格品への代替ができず、PCEと比較して高い伸び率となる。
PCEは全米を対象とし、新製品や低価格品への代替なども含むことから、
消費者の嗜好の変化などを捉えることができる。

12月のPCE指標予想、展望について

さて、12月のPCE指標予想は 前年同月比 5.0%と予想されている。

PCE指標が予想を上回った際には利上げの当分の継続が想定され、
金融引き締めの長引きにより株価は売られると予想される。
一方、予想を下回る際には利上げペースの加速・金融引き締めの早期終了への期待が高まり、
株価の支えとなりそうだ。

参考文献

CPI(消費者物価指数)と PCE(個人消費支出)2つの物価指標、
https://www.dh-sec.co.jp/economy/pdf/20221019.pdf
消費者物価指数(CPI(Consumer Price Index))
https://hirose-fx.co.jp/category/market/e_indicator/usa/11.html


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