コロナ禍で大きく落ち込んだ空運業も、
経済正常化を機に立て直しが進みつつあります。
日本では他国と比べて国境開放の時期が遅く、
観光客やビジネス用途での訪日客数の回復にはまだ時間を要するとみられる一方、
欧米では旅客需要の復活がいち早く進んでいます。
この記事では、米国の航空業界三大大手である
・アメリカン航空
・デルタ航空
・ユナイテッド航空
のうち、ユナイテッド航空の決算内容を説明します。
調べていくうちに、日本の二大航空会社であるJAL、ANAとの規模感の違い、
各種指標でも特徴が出ていましたので、この記事でまとめます。
ユナイテッド航空・JAL・ANA、三社比較
売上高・営業利益
三社の財務項目は以下の通りとなっています。
(億円) | 売上高 | 営業利益 | 営業利益率(%) |
ユナイテッド航空 | 16,740 | 1,895 | 11.3% |
JAL | 3,871 | 381 | 9.8% |
ANA | 4,679 | 675 | 14.4% |
売上規模で見るとユナイテッド航空はJAL、ANAの約2.5倍であるが、
営業利益率ではANAが3社の中でトップの数値を出しています。
旅客数
(万人) | 旅客数 | 2022年10-12月 (国内便) | 2022年10-12月 (国際便) | 2022年10-12月 (LCC) | 2019年10-12月 (国内便) | 2019年10-12月 (国際便) | 2019年10-12月 (LCC) | |
ユナイテッド航空 | 3,880 | 内訳の公表なし | ||||||
JAL | 1,257 | 863 | 120 | 274 | 911 | 218 | – | |
ANA | 1,278 | 971 | 115 | 192 | 1,162 | 256 | 178 |
売上規模の差分は旅客数に起因しており、
ユナイテッド航空が人口3億の米国をマーケットとする強みが現れています。
JAL、ANAの旅客数を見ると、コロナ前の水準からは回復し切っておらず、
米国経済との違いを感じるところです。
座席利用率
以下に、3社の座席利用率を2022年10-12月期、
2019年10-12月期(コロナ前)で比較したデータを示しています。
2022 4Q | 2019 4Q | 2022 4Q | 2019 4Q | ||
国内便 | 国内便 | 国際便 | 国際便 | ||
ユナイテッド航空 | 87.0% | 86.8% | 87.6% | 82.9% | |
JAL | 72.5% | 74.1% | 70.9% | 80.7% | |
ANA | 68.5% | 72.5% | 72.1% | 76.8% |
ユナイテッド航空の座席利用率は、国内外問わず9割弱と、
極めて効率的に運行していることがわかります。
また、コロナ前との比較では、ユナイテッド航空はなんとコロナ前と比較して改善していました。
一方で、JAL・ANAについては、国内便は数%に迫る基準まで回復したものの、
国際便は5-10%ほどの乖離があり、引き続き需要回復にはまだ時間を要しそうです。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
ユナイテッド航空の数値は、座席利用率では回復どころかコロナ前の数値を上回っている一方、
JAL、ANAはコロナ前の水準回復に向けて取り組んでいるところですね。
日米大手企業の業績や各種指標を比べると、
各国の経済環境や、各社のビジネスモデルの違いが見れて非常に興味深いです。
今後も、他業界にて分析を行なっていこうと思います。