米国の「中流層」、家計のやりくりに苦戦

米国の「中流層」、家計のやりくりに苦戦投資

元記事:https://www.cnbc.com/2023/01/18/amid-inflation-more-middle-class-americans-struggle-to-make-ends-meet.html

記事の要約

米国では2022年度に前年比で 6 – 9%台のインフレ率を記録し、高インフレに苦しんだ一年となった。
その影響は企業のみならず家計にも大きな影響を与え、
中流層にとっては収入の伸びよりも支出の伸び方が速く、家計を圧迫している。

米国連邦議会の議会予算局(Congressional Budget Office)が2022年9月に公表したレポートでは、収入に占める各種品目の割合が2021年比で増加していることが書かれている。

中流層と一概に定義するのは難しく、専門家の間でも定義が分かれる。
消費額または資産額を元にした集計などもあるが、
世帯年収のうち下位20%、上位20%を除いた範囲、というシンプルな定義であれば、
米国では約50千ドル – 約140千ドル (約650万 – 1,800万)となる。

日本と比べれば中流層の裾野も広いように思えるが、
中間層に属する家庭では支出を抑えることができず、貯金を切り崩すほか、クレジットカードの上限枠を超過して借入を行うなどして賄っている。

ただし、インフレ対策での政策金利上昇を背景に、
クレジットカードでの借入金利は19%を超えるなど、厳しさを増している。
自身の階級や出身に関係なく、勤勉と努力によって成功を勝ち取れるとする
アメリカンドリームへの期待は薄れていることも示すアンケート結果もある。

若い世代が両親よりもいい暮らしができるとは考えにくいと
中流層の6割が答えたとのことで、先行きへの不安感が伺える結果となった。

日本における世帯収入の伸び

日本の世帯収入の平均(令和二年度家計調査より取得)は514万円、中央値は440万円であった。
平均値を用いる場合、高収入(例えば億単位の収入を持つ)の世帯に平均が引っ張られてしまうため、世帯年収を大きい順に並べた際の中央値が一般的な世帯収入を指していると捉える。

収入は過去から比較してどの程度伸びたのだろうか。

以下に、各種世帯の所得状況の年次推移を示している。
全世帯の所得推移は高齢者世帯の増加影響もあるので、
高齢者世帯以外の世帯、児童のいる世帯の数値を見ると、
いずれも1990年後半から横ばい基調にあることが伺える。

ただし、児童のいる世帯の所得を2010年代から追うと、微妙だが増加傾向にある。
これは給料の伸びというよりは、共働き世帯の増加が一つの要因ではないかと筆者は考えている。

(各種世帯の所得等の状況、令和2年度国民生活基礎調査、厚生労働省)


参考までに、アメリカの世帯収入中央値の推移を示したグラフを以下に示す。
1985年から2000年にかけての上昇基調は同じだが、
2000年以降の世帯収入の傾向が異なっていることがわかる。

アメリカはドットコムバブルやリーマンショックでの落ち込みはあるが、
全体的には上昇基調にある。

ただし先述した通り物価の伸び率は前年比 6 – 9%台と大きく、
給料も上がるが物価も上がる社会にある。

一方日本は給料も上がらないが物価も上がらない社会となっており、非常に対照的。

Real Median Household Income in the United States, Federal Reserve Bank of St. Louis

感想

日本に暮らしていると、「失われたxx年」「給料は伸びない」と言われる。
GDP1位の経済大国であるアメリカでは、給料の伸びもあり豊かに暮らしているのかと思っていたが
記事の通り、暮らしている中流層からすれば物価高もあり生活は厳しいとの声もあるそうだ。
一番いいのは、伸び続ける米国の給料をもらい(例えば外資系企業で働くとか)、
物価の伸びが緩やかな日本で暮らすことが生活水準を上げる手段なのではないかと思うが、
やはり外国人にとっては言語や文化の壁は高いのだろうか。。

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