OpenAIの台頭により、Microsoft や GoogleでのAI開発競争が話題になっていますが、
その裏で上昇している半導体銘柄、NVIDIAがあることをご存知でしょうか。
NVIDIA株は、2023年に入ってから60%上昇。
正式には「NVIDIA Corporation(エヌビディアコーポレーション)」といい、
アメリカのカルフォルニア州にある半導体メーカーです。なかでもGPUに特化している点が特徴といえます。
GPUの基礎
GPU・CPUの違いとは?
GPUと似た言葉に、CPUがあります。
どちらも処理装置ではありますが、この2つは、目的や処理をする対象・速さに違いがあります。
CPUは「Central Processing Unit」の略で、中央処理(演算)装置を意味します。
コンピューターの頭脳として機能しており、逐次計算からデータベースの実行まで、幅広い処理を行います。
一方GPUとは、「Graphics Processing Unit」の略称であり、日本語では「画像処理装置」などと訳されます。
3Dグラフィックスなどの画像描写を行う際に必要になる計算処理や、
演算を行う半導体チップ(プロセッサ)がGPUです。
CPUの目的は汎用的な処理を行うことなのに対し、GPUの目的は高速な画像処理を行うこと。
通常コンピューターは、CPUが連続的にタスクを行い、幅広い処理をすることで機能します。
しかし、画像のデータ処理のような膨大な単純作業が必要になる場合、
作業をCPU1つに任せていると、ほかのタスクが終わるまでに時間がかかってしまいます。
そこで膨大な単純作業を任せるのが、GPUです。
我々が普段使用するパソコンにもGPUが搭載され、CPUとGPUは協力してコンピューターを動かしています。
何故GPUが重要?
もともと画像処理装置であったGPUがここまで普及したのには、その計算能力の高さだけでなく、VR技術や人工知能(AI)の発展も大きく影響しています。
AIを活用するためには、事前学習であるディープラーニングが欠かせません。
ディープラーニングは、AIに学習させるために用いられる機械学習の手法の1つです。
ディープラーニングでは、大量のデータを扱います。そこで必要となるのが、データ処理機能の高さです。
GPUは、もともと画像を描画するための処理装置で、単純演算を非常に得意としているため、GPUとディープラーニングは、相性がよいのです。
長くなりましたが、
AIの活用にはディープラーニングが不可欠で、
ディープラーニングを効率よく行うためには高性能なGPUが必要です。
今後、各企業が一層AIを活用した業務に取り組む中で、必要とされるGPUの量は拡大するでしょう。
NVIDIAの事業・利益率
事業内容
データセンター(売上高の65%):
人工知能や機械学習に必要なGPUを提供し、高速なデータ解析やデータ処理を支援。
また、クラウドサービスの提供や、高速なストレージソリューションなども展開。
ゲーミング(売上高の27%):
ゲーム向けに高性能なGPUを提供。
ビジュアル コンピューティング(売上高の3%):
科学技術計算、VRなどの分野で、高性能なGPUを提供
自動車向け(売上高の4%):
自動車メーカー向けに、自動運転技術のプラットフォームを提供。
高性能なコンピューターと、カメラ、レーダー、LIDARなどのセンサーを組み合わせ、
自動運転車に必要な情報処理を実現。
元々はゲーミング向け事業が収益の50%程度を占めていたのですが、
データセンター向けの売上が拡大し、ついにはデータセンターが過半数を占めるように。
現在は売上高の4%を占める自動車向け事業も、
自動運転車の導入が加速するにつれ、
売上高に占める割合は拡大すると言えるでしょう。
利益率
NVIDIAの特徴の一つが、高い利益率にあります。
直近四半期でのグロスマージンは 56%、FY22 Q3, Q4, FY23 Q1決算では
グロスマージンが67%と、非常に高いです。
競合企業であるアドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)の利益率が50%程度であり、
5-10%ほど差をつけていることから、利益構造では優位性を有していると言えます。
市場規模
データセンター市場は今後も拡大傾向にあります。
とある調査会社によれば、2026年までの年間成長率は22%程度と、
非常に高い成長率が期待されています。
IDCの調査によれば、エンタープライズGPU向け市場では、
Nvidiaは91.4%のシェアを獲得しており、
競合他社であるAMDは8.5%と、ほぼ独占状態にあります。
財務内容(EPS・PER・PBR)
直近5年間のEPSは以下の通りで、緩やかに上昇基調にあると言えます。
PERは90代後半をつけており、
過去5年の中でも比較的高水準となっております。
ファブレス企業で大型設備を持たないため、PBRは相対的に高くなっています。
2023年2月14日時点では26.4倍となっている。
*ファブレスメーカー:生産や製造を行う施設・工場を自社で持たない企業のことで、
製品の製造はすべて他社に任せてしまいます。
まとめ
PER的には100倍近くで割高感はありますが、
データセンター事業の拡大が見込め、
さらに長期的には自動車向け事業の急成長も見込めます。
また、ChatGPTやGoogleのBardなどのニュースが世間を賑わし、
企業による AI投資の必要性が持ち上がれば、
さらに株価の上昇原因となるはずで、短期的にも上昇が見込めるのではないかと思います。